計算原理
WsbはBPMの高速な演算性能を維持しながら、計算精度はFDTD並みに改善される。その計算原理は下記(1),(2)に示すように、
FFT-BPM(Beam Propagation Method)を基本にBabinetの原理を応用した伝搬プロセスを用いる。
(1) 質な媒質内での伝搬をHelmholzの式に基づきFFTを繰り返して計算する(いわゆるFFT-BPM)。Helmholzの式は均質な媒質内では厳密な波動方程式である。
(2) 光分布を屈折率の異なる媒質の領域毎に分け、往路、復路毎に伝搬計算。周波数特性の違いから屈折率界面への入射光を往路側の透過光とエバネッセント光、復路側のフレネル反射光と全反射光の4つに分類し、それぞれをBabinetの原理に基づき伝搬、合成する(エバネッセント光は全反射光を放射しながら減衰する成分)。フレネル反射を考慮するので偏光が扱える。相補的な領域を通過する光分布を合成するプロセスはBabinetの原理と同じで、演算に伴うエネルギー変化が極めて小さい(エネルギー保存がほぼ満たされている)計算法である。
(参考) Babinetの原理
相補的スクリーンA’,A”による回折では回折光の複素振幅をuA’,uA“としてuA’+uA“=uAが成り立つ。
境界条件の種類
境界条件が周期境界条件(PBC)の場合。
境界条件が吸収境界条件(ABC)の場合。
透過光、反射光の計算
光の伝搬を透過側(往路側)と反射側(復路側)に分けて計算し、合成する。
透過側(往路側)
反射側(復路側)
透過と反射の合成。
偏光の計算
屈折境界面での偏光を扱える。
角度をなして屈折境界面に光が入射する。
偏光に対する反射率の角度依存性
遠方界の計算
下記のモデルで上下面方向の遠方界が計算される。
下面側の遠方界。
上面側の遠方界。
光量計測
各材料の入出光量や吸収光量が個別に計測できる
各材料領域での計測結果
多彩な断面構造の表現例
内部定義の場合
sub.datを使った外部定義の場合
sub.datで記述された(x1,y1), (x2,y2), (x3,y3), (x4,y4)の4点の囲む図形とそれらの集合図形の周期構造が定義できる。
レンズ集光の計算
内部定義による円構造の集積によりレンズ形状を表現
外部定義による断面構造の集積によりレンズ形状を表現
計算結果の表示
実行時にWscntが起動し、リアルタイムに計算結果を表示