Wsf(FDTD),Wsr(RCWA),Wsb(BPM)の比較計算

配布zip内のフォルダ\Ws_soft\Samples\Comparisonの中のデータに基づき下記の比較計算を行なう。

フレネル反射の角度依存性

 SiO2/Airの境界面に入射する光の反射率を入射角をパラメータにして比較計算する。いわゆるフレネル反射の角度依存性の問題である。
比較計算11

 P偏光での計算結果を比較。Wsb,Wsf,Wsrともほぼ一致する。Wsfに関して35度付近で浮き上がりが発生するのは反射光と光源の干渉の影響(この影響を極小化するため入射光をパルスにして計算)。Wsb,Wsfに関して45-50度付近に丸みが発生するにはビーム径の小さいことで入射光に発散角成分が含まれるため。
比較計算13

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_1.dat 1.2 s * 60 0.04 GB
wsf_1.dat 78 s * 60 0.06 GB
wsr_1.dat 7.1 s * 60 0.20 GB

エバネセントによるトンネル効果

 SiO2/Air/SiO2のギャップ構造に45度入射するP偏光の光の透過率をギャップ厚をパラメータにして比較計算する。上面側のSiO2からAir側に入射する光のエバネッセント成分が下面側のSiO2にどれだけ吸い取られるかというトンネル効果の問題である。
比較計算21

 Wsf,Wsrはガウス曲線に沿った減衰、Wsbは指数関数的減衰という違いはあるが、いずれもエバネセントによるトンネル効果を表現できている。
比較計算22

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_2.dat 2.0 s * 50 0.04 GB
wsf_2.dat 397 s * 50 0.02 GB
wsr_2.dat 12.1 s * 50 0.37 GB

反射防止構造による反射率特性

 SiO2の矩形断面格子構造に垂直入射するP偏光の光の反射率を格子深さをパラメータにして比較計算する。
比較計算31

 反射率を極小にする深さはWsb,Wsf,Wsrともほぼ一致する。
比較計算32

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_3.dat 0.9 s * 50 0.01 GB
wsf_3.dat 24 s * 50 0.06 GB
wsr_3.dat 0.9 s * 50 0.02 GB

15度傾斜の透過面による反射、屈折

SiO2/Airの15度傾斜面に入射するP偏光の光の反射、屈折を計算する。
 Wsb(BPM)で計算する。
比較計算41

 上の計算で反射成分だけを抽出する。
比較計算42

 Wsf(FDTD)で計算する。
比較計算43

 Wsr(RCWA)で計算する。
比較計算44

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_4.dat 3.7 s 0.03 GB
wsf_4.dat 66 s 0.07 GB
wsr_4.dat 133 s 4.06 GB

30度傾斜の透過面による反射、屈折

SiO2/Airの30度傾斜面に入射するP偏光の光の反射、屈折を計算する。
 Wsb(BPM)で計算する。
比較計算51

 上の計算で反射成分だけを抽出する。
比較計算52

 Wsf(FDTD)で計算する。
比較計算53

 Wsr(RCWA)で計算する。
比較計算54

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_5.dat 4.3 s 0.04 GB
wsf_5.dat 144 s 0.11 GB
wsr_5.dat 141 s 4.06 GB

45度傾斜の透過面による反射、屈折

SiO2/Airの45度傾斜面に入射するP偏光の光の反射、屈折を計算する。
 Wsb(BPM)で計算する。Wsbは水平方向(z軸直交面方向)に伝搬する光を扱えないので、水平方向に伝搬する反射光は現れない。
比較計算61

 Wsf(FDTD)で計算する。反射光は現れるが、反射面が階段状なので一部散乱する。
比較計算62

 Wsr(RCWA)で計算する。反射光は現れるが、反射面が階段状なので一部散乱する。
比較計算63

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_6.dat 8.3 s 0.07 GB
wsf_6.dat 416 s 0.25 GB
wsr_6.dat 182 s 4.38 GB

60度傾斜の透過面による反射、屈折

SiO2/Airの60度傾斜面に入射するP偏光の光の反射、屈折を計算する。
 Wsb(BPM)で計算する。反射光は現れるが、反射面が階段状なので一部散乱する。
比較計算71

 Wsf(FDTD)で計算する。反射光は現れるが、反射面が階段状なので一部散乱する。
比較計算72

 Wsr(RCWA)で計算する。反射光は現れるが、反射面が階段状なので一部散乱する。
比較計算73

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_7.dat 11.2 s 0.11 GB
wsf_7.dat 798 s 0.39 GB
wsr_7.dat 248 s 5.23 GB

エバネセントによるトンネル効果と多重反射

Al表面とSiO2/Air/SiO2のギャップ構造面の間で45度反射を繰り返す計算をする。
比較計算82

 Wsb(BPM)で計算する。干渉設定(ity=1)にしているので、入射光と反射光による干渉縞は正しく計算される。比較として、上の図は非干渉設定(ity=0)で計算しており、入射光と反射光は強度和で処理され干渉縞は現れない。
比較計算83

Wsemsでのity=0,1の設定画面
比較計算81

 Wsf(FDTD)で計算する。
比較計算84

 Wsr(RCWA)で計算する。
比較計算85

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_8.dat 5.1 s 0.07 GB
wsf_8.dat 1229 s 2.59 GB
wsr_8.dat 155 s 1.39 GB

材料の分割検出の比較計算

SiO2中に配置されたレンズ下の棒状Si材を上下に分け、P偏光の光の入射角をパラメータに上半分のSi材での上下境界面透過光量と吸収光量を計算比較する。ただし、この計算は空気以外に3種類以上の材料指定をしているので購入が必要である。 (制限条件参照)
比較計算91

 Wsb(BPM)で計算する。
比較計算92

 Wsf(FDTD)で計算する。
比較計算93

 Wsr(RCWA)で計算する。
比較計算94

 演算時間と消費メモリを比較。
2次元計算データ 演算時間 消費メモリ
wsb_9.dat 2.0 s * 40 0.19 GB
wsf_9.dat 510 s * 40 1.07 GB
wsr_9.dat 198 s * 40 5.01 GB

シミュレータ比較

 演算対象
Wsf(FDTD),Wsb(BPM),Wsr(RCWA)とも同じ対象を演算できる。
 演算速度
Wsfを基準にするとWsbは100~300倍、Wsrは1~10倍速い。
 メモリ消費
Wsfを基準にするとWsbは1/10~1/300倍(2次元計算では1~1/10)、Wsrは1~10倍のメモリが必要。